防火区画

 京都アニメーションの放火事件について事件直後にアップしたBlogです。初心を忘れないために固定ページにもアップします。

 最初に、被害に遭われた方々の早期回復と、亡くなられたの方々にお悔やむ申し上げます。このような事件が二度と起こらない事を願います。

 昨日発生した京都アニメーションの放火事件について、なぜこんなに大きな事故になったかと考えさせられています。
事件の発生の経緯については、警察の調べで分かっていくと思いますが、建築物の視点から考えたら、もっと被害を抑えることできなかっただろうかと思います。

 まず、事件の建物が3階建てだったと言うこと収容人員の多さです。一般的に3階建ての建物は縦穴区画が必要になりますが、建物にはほぼ中央に3層まで繋がる螺旋階段があり、この階段が煙突となり被害が拡大した言うのは誰が視ても明らかだと思います。螺旋階段の周りには、ガラスの防煙が設置してあるのがニュースの映像から確認はできますが、今回の爆発的火災には何の役に立たなかっただろうと推測できます。

 この螺旋階段については、機能的に有効で日常の作業の効率点から考えると便利で建物のアクセントになりますが、火災には大きな欠点になります。
2層まででしたら、私も設置するかもしれませんが、3層では採用しないと思います。

 設計を始める場合は、収容人数が大きな要因になりますが、今回も建物全体で74人方が作業をしておられたようです。1階あたり約25人の収容人数です。一般的に螺旋階段は最近避難階段と見なさいこと多いですので、今回の避難階段は奥まった位置の階段のみなります。

防火区画等がしっかり機能していれば、あのような階段で多くの死者を出さず済んだのではと思います。特に火災は1階で発生しているのに、3階から屋上に上がる階段で死者が出ていること考慮すると、階段の防火区画が何らかの理由で機能していなかった思われます。

 今回のプランを見ていても、2方向避難をどのように考えていたのか疑問が残ります。バルコニーを避難用として考えいたのかと、これから検証されるでしょう。 螺旋階段と屋内階段が接近しすぎて、何らかの場合は避難が困難になるのも想像できます。

 マスメディアの模型やプランを見る限りですが、防犯的には安全を確保しやすいプランだと思いますが、それとは裏腹に火災が起こった時の避難では、難しいい平面だと感じます。

 また、今回は防犯的には安全なプランですが、玄関のセキュリティーに問題があり、簡単に加害者の容易に侵入を許してしまったことも大きな原因になったと思います。運用面で、防犯防災を再検討することも必要だと感じました。

 今回の事件では、内装も木製を使い室内に燃えやすいい環境があったのではと言う報道ともあります。また、画材等の可燃物も多くあること想像でます。これから消防等の検証で明らかになってくると思います。

 設計者としては、建築基準法及び関係法に適合していれば良い考えでは無く、いろいろな設計条件の中で、より安全でより良い環境を自ら創り出して行かなければ改めて感じています。