建築と価格


住宅を手に入れようとする人は、安くて良いモノをと殆どの人思うのではないでしょうか? 建築費は重要な決定要因の一つになります。いくら自分が気に入った間取りや立面だったとしても、自分の予算に合わ無いと手に入れる事はでませんし、無理して手に入れたとしても後で手放せなければならない事になってしまうかもしれません。

 では、建築の価格はどのように決まっていくのでしょうか。一般的なモノは需要と供給のバランスで価格が決まっていくが普通です。建築の価格も基本的には需要と供給で成り立っています。しかし、建築が他のモノと決定的に違うのは、敷地に合わせた一品であるという事です。大抵の場合は、その敷地に合わせて設計されて、建築されていきます。例外的にプレハブ工法で同じ形、色、間取りのモノもありますが、基本的には一品物になります。
 
 建築の価格は、一品物と言う特殊性により普通の商品価格と違い複雑で分かりづらく金額が大きく、提示された金額が適正かどうかも判断は難しくなりがちです。近年は、インターネットの発達により、建築価格や性能の情報により、一般的な住宅やマンション価格は建築に知識がない方でもある程度の予測ができるようになっているのが現状です。しかし、折角のマイホーム、自分の思いを反映したお家が欲しいとなったら、価格がより複雑化してきまます。
 
 建築は高価な買い物です。高い買い物をするので、中途半端な妥協はしたくないと思う人は少なくはないと思います。しかし、自分の支出できる金額は大抵の人は限度があります。人によっては、予算に関係無く自分の欲しい空間を求めて来られる方もおられます。自分と相性の良さそうな建築家、施工業者に依頼する場合があります。この場合は、市場の原理があまり働かずに独占価格の様相が高くなります。メリットとしては、自分の希望する建築が手に入りやすく、クオリティが高くなる一方、価格は高くなりがちです。
 
 コストパフォーマンスが良い建築は、一般的に流通している資材を使用して標準的な工法で建てることになります。材料も注文をしたら、在庫がありすぐに届けられ、一般的な技術力のある職人さんが施工できることが求められると思います。コスパの良い家は、どうしても、一般的に使われている材料等を使用しますので、何処かで見かけたような家となることが多いと思われます。このような建築は、メーカーが提供するプレハブ工法の建築等も含まれと思います。

 ローコストの建築になるとローコストの材料、コストを抑えた工法等で施工しなければ一般的には手に入れることができません。ローコストの建築は単に安くしようとすると、安かろう悪かろうと言うことなってしまいがちです。ローコスでも素晴らしい建築はいくらでもあります。ローコストの家は、建築を新築する上でデメリットでもありメリットでもあると私は考えています。その一つのメリットは自分のオリジナリティーある建築を手にいれる事です。何もかも不自由のない建築より多少不満の残る部分と上手に生活していく建築もありで良いと思います。

 建築を個人的、社会的に理想な的な空間にする上で重要な第一歩が設計者選びだと私は思います。設計者選びが適切だったかどうかで、その建築が良いのか、それ以外なのかという事になると思います。コスト的には設計料が高くなるかもしれませんが、建築費や建築の品質等に影響します。これらはハイエンドお客さんからローエンドお客さんに言えることだと思います。設計者が全てではありませんが、建築の価格に重要なキーパーソンの一人です。建築家、施工業者の設計者、ハウスメーカーの設計者などの設計者選びが建築の価格に重要な決定の因子になると私は考えています。